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2019年10月21日

【人工肛門使用患者への坐剤の使用】


【質問内容】


人工肛門を増設している患者に対して、坐剤は使用可能か?

注意点などはあるか?



【回答内容】


人工肛門の設置状態や肛門が温存されているかで、対応が異なる。



まず、肛門が閉鎖されずに温存されている場合、血流も確保されているため、直腸からの吸収は可能となる。



肛門が閉鎖されている場合(直腸切除術)、人工肛門からの投与を検討することになる。



その場合、検討しなければならない事項として、

①人工肛門内への坐剤投与は、人工肛門の粘膜を損傷する危険性があること[1]

②人工肛門に括約筋はなく、投与した坐剤が不意に排出されることがあること③人工肛門部位における薬剤の拡散低下、薬剤流出による吸収低下等が考えられる[2]

以上により、可能であれば他の投与経路を検討したほうが良い。



仮に、人工肛門からの挿入を行うのであれば、人工肛門からの薬剤の漏出を防ぐため、挿入後5分程度挿入部を圧迫しておく必要がある[3]

 



[1] 氏原孝司:坐薬による人工肛門穿孔の1例.日腹 部救急医会誌  171841997
[2] 福岡県薬剤師会.質疑応答検索.確認日:2019/05/29
[3] ブーケ若い女性オストメイトの会.Q&A.参照:http://www.bouquet-v.com/stoma02.html,参照日2019/05/29

2018年6月19日

【耐性乳酸菌製剤の製品間の違い】


【質問内容】

①ビオフェルミンR散0.6%
用法:1回1g1日3回

②耐性乳酸菌10%「JG
用法:1回1g1日3回

上記2品目の用法において、耐性乳酸菌としての量に大きく差があるのですが、なぜ差が生まれているのか、お調べいただくことは可能でしょうか?

また、②の処方があった際に、在庫が無いなど事情で①で力価を揃えて調剤してしまうと、①の用法を大きく逸脱してしまうと思うのですが、この場合返戻などになってしまうのでしょうか?

【回答内容】

ビオフェルミンRと耐性乳酸菌10%のインタビューフォームからの引用です。
ビオフェルミンR
1g又は1錠中に耐性乳酸菌〔Streptococcus faecalis129 BIO 3B-R)〕 6.0mgを含有し,
生菌数として1×1061×109個含有する.

耐性乳酸菌10%「JG
1g 中 耐性乳酸菌100mg 含有
(耐性乳酸菌(Streptococcus faecalis BIO-4R)の生菌を1×106 1×109個含有)

ここで注目したいのは菌株と生菌数です。
ビオフェルミンRと耐性乳酸菌10%「JG」では菌株が異なります。
菌株が異なるため、そのた重量についても差が生じ、腸内細菌叢の改善に必要な生菌数を得るための用量も異なります。

次にビオフェルミンRを耐性乳酸菌10%「JG」で代替できるかという点についてです。
ビオフェルミンRと耐性乳酸菌製剤は菌株が異なり、一般名称マスタにおいても別医薬品の扱いもとなります。
したがって在庫がなく耐性乳酸菌10%「JG」をビオフェルミンRで調剤したいとなれば、疑義照会が必要となります。
疑義照会せずに、用量を合わせて調剤してしまったとなると、調剤過誤の誤薬及び用量間違いとなります。


2018年3月8日

小児へのPPIの投与(追記)

内科医からの質問。
小児のGERDや胃潰瘍でPPIを投与したい。
どのくらいの用量で投与すればいいのか?


現在国内で販売されているPPIには小児適応のある薬剤はありません。

2018年にネキシウムが懸濁用顆粒として承認されます。

添付文書からの引用となりますが
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、GERD、非びらん性胃食道逆流症に適応を有します。
※低用量アスピリン投与及びNSAIDsに対する潰瘍の再発抑制の適応症は、小児にはないようです。

それを踏まえた上で、他のPPIについてはメルクマニュアルに下記記載がありました。
【ランソプラゾールの場合】

10kg未満→7.5mg/日 10-20kg→15mg/日 20kg以上→30mg/日 引用元;メルクマニュアル


【オメプラゾールの場合】

1歳から16歳における投与量は5~10kgで5mg、10~20kgで10mg、20kg以上で20mg(オメプラゾールの海外添付文書より)



2018年1月26日

ユベラ錠の肝疾患への投与

【質問内容】
大学病院消化器科からの処方箋

ユベラ錠50mg 6錠 分3 毎食後 28日分

ユベラの処方意図は何か?

【回答内容】
非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の治療に用います。

日本肝臓学会のガイドラインによると、ビタミンEの長期投与(文献によると2ヶ月以上)は食事療法を継続しているNASHALT値を改善する効果があるとされています[1]

NASHの発生機序には肝臓の脂肪化をベースにして、インスリン抵抗性、さらには鉄の過剰蓄積などに由来する酸化ストレスが深く関わっていると推測されています[2]

ビタミンE(ユベラ)には生体膜保護、抗酸化ストレス、脂質代謝改善などの作用を示し、肝星細胞の活性化を抑制して、肝線維化を防止する作用もあります。
これらの作用により、NASHに効果があると考えられます。



[1]日本肝臓学会.NASH/NAFLDの治療2010.
[2]中嶋俊彰.NASHの治療.今月のテーマ 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の現況,日消誌 2004,101,1204-1208


2017年4月12日

PPIの長期投与の安全性

PPIを長期投与することにより、腫瘍細胞の過形成が起こると聞いている。
その他の安全性についてもエビデンスを含めて教えて欲しい。


PPI2年から3年に渡って投与した場合、ポリープの増大が認められたという論文が発表されています[1]。ポリープの増大の機序としてのひとつとして、胃底腺ポリープに認められる拡張腺管の拡張の程度の増加、拡張腺管の数の増加の誘発が考えられたとの記載があります。

また、血清ガストリン値の上昇(高ガストリン血症)を認めた論文もあり、定期的なガストリン値の測定も推奨されています[2]




[1]Gastroenterological endoscopy 51(8), 1686-1691, 2009-08-20
[2] Aliment Pharmacol Ther.2015 Sep;42(6):649-63. doi: 10.1111/apt.13324. Epub 2015 Jul 16.