【質問内容】
前回テルミサルタン40mg・アムロジピン5mg配合錠から今回イルベサルタン100mg・アムロジピン10mg配合錠へ切り替えになっていました。添付文書上の切り替え法通りではないので念のため疑義しましたが変更はありませんでした。
このような場合どのように考えればよろしいでしょうか。
【回答内容】
本症例の切り替えに関して様々な見解が考えられるが、適応上は原則としてイルアミクスLDを経てHDへの切り替えが必要とされているため、疑義照会を行うのは適切であるといえる。
その上で、アムロジピンを5mg→10mgに増量していることから降圧効果が不十分であったことが検討される。
次にARBの切り替えについて検討する。
ARB自体の強弱としてはテルミサルタン40mg≒イルベサルタン100mgと判断できる。すなわちARBの変更による降圧作用の増強という観点は考えにくい。
さらにテルミサルタンとイルベサルタンの違いを検討する。
テルミサルタン
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成分
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イルベサルタン
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43%
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バイオアベイラビリティ
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61/~88%
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0.5~1H
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Tmax |
1.3~3H |
21~38H
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t1/2
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1.3~3H
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98%→禁忌:胆汁の分泌が極めて悪い患者又は重篤な肝障害のある患者
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糞中排泄率 |
80% |
2%
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尿中排泄率
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20%
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以上により、肝機能の悪化のためARBをテルミサルタンからイルベサルタンに変更した可能性も考えられる。
また、イルベサルタンは海外において糖尿病性腎症(2型糖尿病を合併する高血圧症における腎症)の適応症を取得していることから、腎症の所見が確認された可能性も考慮されうる。
引用文献
医薬食品局審査管理課. (2008年3月6日). イルベタン・アバプロ審査結果報告書.
大日本住友製薬株式会社. (2018年10月). アバプロ錠インタビューフォーム.
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社. (2019年3月). ミカルディス錠インタビューフォーム.
有吉 祐亮,水本 継吾. (2009). 長時間作用型ARBイルベサルタン (イルベタン®錠50 mg,イルベタン®錠100 mg) の薬理作用と臨床特性.
日薬理誌.
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