2019年3月11日

【薬物性味覚障害を起こす薬剤】


【質問内容】

味覚障害を起こす薬剤は多くあるが、内服薬の中で具体的にはどんなものが考えられるか?

 【回答内容】

薬剤が亜鉛とキレート結合し、尿中への亜鉛排泄を促進することにより亜鉛欠乏が起こる。
チオール基(-SH)、カルボキシル基(-COOH)、アミノ基(-NH2)を有し、5員環、6員環キレートを作る化学構造を有する薬剤は注意を要する。(ACE阻害薬に多く存在する)

また代表的な分類には降圧薬、消化性潰瘍治療薬、抗うつ薬、抗菌薬、解熱・鎮痛剤、糖尿病薬、抗がん薬などが挙げられる。

添付文書上0.1%以上の頻度があるものとして以下のようなものがある。(抗がん剤、抗ウイルス剤、抗リウマチ剤は割愛)
成分名
発生頻度
機序・その他
アジスロマイシン
0.4
記載なし
アセタゾラミド
0.91
口腔内乾燥、唾液分泌の低下による影響[1]
アゼラスチン
0.36
薬剤自身の味である苦味のため[2]
アトモキセチン
1.0
記載なし
アナフラニール
5%以上
機序は不明[3]
アプレピタント
1.26
記載なし
アミオダロン
0.96
記載なし
アリピプラゾール
0.2
記載なし
イミプラミン
0.15
※抗コリン作用及び原疾患の影響の可能性
エスゾピクロン
21%

エトレチナート
0.43
記載なし
エプレレノン
0.5%未満
※高K血症の前駆症状にも味覚異常あり。
エンパグリフロジン
0.11
記載なし
カルバマゼピン
0.12
※頻度は口内苦味の数値。詳細記載なし
シロスタゾール
0.12

シロドシン
0.23

セビメリン
0.13
※原疾患の口腔乾燥の影響?
セラトロダスト
0.1~5%
記載なし
セレギリン
0.13
記載なし
セレコキシブ
0.2
記載なし
ゾピクロン
4.18
成分が唾液中に分泌されるため[4]
テルビナフィン
0.13

デュロキセチン
0.91
※原疾患の影響もあり。
デラマニド
0.5
記載なし
トリミプラミン
0.1~5
※原疾患の影響もあり。
トルテロジン
0.11
抗コリン作用による唾液分泌低下の影響
トルバプタン
1.0
記載なし
ナルメフェン
2.1
記載なし
バレニクリン
4.5
記載なし
フィダキソマイシン
0.45
記載なし
フェソテロジン
0.7
抗コリン作用
フレカイニド
0.13
記載なし
ペルゴリド
0.63%
記載なし
マプロチリン
0.15%未満
記載なし
ミゾリビン
0.11
記載なし
ミルナシプラン
0.13
※原疾患の影響の可能性
メトロニダゾール
0.6
記載なし
リネゾリド
1.01
記載なし
レボドパ
0.3%
Zn キレート,唾液分泌低下
ロベンザリット二ナトリウム
0.12
記載なし
【キーワード】
味覚障害 


[1] 川口充 他.薬物治療と口腔内障害. 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.1274474532006
[2] アゼプチン錠0.5mg・錠1mg 添付文書 20174月改訂(第13版) 【使用上の注意】 7.その他の注意
[3] アナフラニールインタビューフォーム. .安全性(使用上の注意等)に関する項目, 8. 副作用, (3) その他の副作用,26-27
[4]  日本医薬情報センター編:ゾピクロン.日本医薬品集医療用2004.1190119

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