2017年6月7日

被爆予防とチラーヂン

【質問内容】
インターネットの情報で、ヨウ素剤の代わりにチラーヂンが被爆予防に使えると聞いた。
実際に使うことは可能なのか?

【回答内容】
結論から申し上げると、使用不可です。

チラーヂンSの場合、体内で代謝を受けてT3となり生理活性を示します。最終的には脱ヨード化を受けるわけですが、速やかにヨウ素が生成されるわけではありません。[1]

またチラーヂンS50の場合、構造式から1錠あたりのヨウ素の含量は31.8μgとなります。このため、単純にヨウ素の量だけで換算すると新生児の場合、300錠近く必要となります。

ちなみに、被爆予防に用いるのは安定ヨウ素剤としてヨウ化カリウムが用いられます。
さらにその投与量としては、新生児12. mg、生後1ヶ月以上3歳未満25 mg、3歳以上13歳未 満50 mg、13歳以上40歳未満100 mg と定められています。
40歳以上については放射性ヨウ素による被爆で甲状腺がんなどの発生率が増加しないため服用の必要はありません[2]



[1]チラーヂンSインタビューフォーム.Ⅶ薬物動態に関する項目5代謝.p17-18,20153
[2]原子力安全委員会 原子力施設等防災専門部会.原子力災害時における安定ヨウ素剤予防服用の 考え方について.平成14年4月


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