2017年4月26日

肉芽へのカチリの使用についてと使用期間について

胃ろうの方で、肉芽が出来ていて痛みもある。

内科よりカチリの処方があり、使用すると痛みが緩和されると本人からの話もある為継続して使用しているが、使い続けて良いのかどうか?

→簡単に調べましたが、肉芽に対してカチリを用いる資料を見つけられませんでした。
長期間の使用は推奨されないため、肉芽が出来ないような処置を提案し、痛みが引くまでは使用して頂こうかと思っています。カチリにこのような使い方があるという文献があれば教えて下さい。



カチリは確かに皮膚そう痒症などに対して適応症を持ちますが、創傷治療ガイドライン上にもやはり確認できません。むしろ、創部の乾燥作用を持つため創傷治療には用いづらいと考えられます。おそらく処方医の意図としては
皮膚炎に対し、防腐、消毒、鎮痒の各作用を有するリニメントとして使用される。 フェノール(2%)の防腐、消毒、鎮痒作用と酸化亜鉛の収れん作用のほか、皮膚面に塗擦す ると水分が蒸発してトラガントの薄膜が残り、皮膚を保護する作用を有する[1]
この消毒作用および、収れん作用による創部の治療、皮膚保護作用を期待しているのではないかと推測されます。
また丸石製薬のWebサイトにて以下の記述も発見できました。
フェノール亜鉛華リニメントはフェノールの鎮痒作用により、痒みを抑えます。
11~数回適量を患部に塗布してご使用ください。
ただし、び爛・潰瘍・結痂・損傷皮膚及び粘膜にはご使用頂けません。
したがって、水痘の瘙痒に使用して、水疱、膿疱が破れてしまった場合、その部分にはご使用頂けません。[2]
上記記述からも傷が治りきっていない肉芽組織には使いにくいと考えられます。
神奈川県皮膚科医会で行われたアンケート結果にも、やはりカチリの認知度並びに使用状況は徐々に低下してきており、医師によっては水疱瘡にも使用しないという医師も出てきています。




[1]フェノール亜鉛華リニメント「ニッコー」IF 
[2]丸石製薬 フェノール亜鉛華リニメントよくある質問


0 件のコメント:

コメントを投稿