体重増加の副作用のある薬剤にはどんなものがありますか?
またその発現機序について教えてください。
代表例としまして、抗精神病薬、抗うつ剤、ステロイド剤、糖尿病薬(SU剤とチアゾリジン薬)が上げられます。また、リリカにも体重増加の副作用が10%程度報告されています。
薬剤性の体重増加は、食欲増進、口渇によるソフトドリンクの摂取量増加、基礎代謝の低下等で起こるとされています。
【SU剤】
運動不足によるエネルギー過剰状態での投与により脂肪細胞が肥大化し、結果として体重増加を招きます。
【チアゾリジン薬;ピオグリダゾン】
腎臓集合管のPPARγを介した塩分貯留により浮腫をきたし,体重増加を招くとされています。[1]
【抗うつ剤】
もともとの病態から活動量も低下し、体重増加傾向となるとされます。
また抗ヒスタミン作用も併せ持ちます(特に三環系抗うつ薬に見られます)[2]。
更に代表例としてパキシル(パロキセチン)、リフレックス(ミルタザピン)は抗うつ剤の中でも体重増加の副作用が多いことが知られています。
【スルピリド】
スルピリドは,食欲不振に速効性を示す半面、過食傾向に陥るケースが見られます。それにより体重増加を来すこともあります[3]。
【リリカ】
体重増加には、食欲亢進と浮腫による副作用の可能性があります。
【抗精神病薬】
リスペリドンには成長ホルモンの分泌を促すグレリンの分泌を促進する作用があり、食欲の向上につながることが報告されており[1]、非定型精神病薬にも同様の作用があるとされています。
【ステロイド剤】
糖代謝に及ぼす影響は,肝細胞における糖新生作用の亢進,末梢組織のインスリン抵抗性の亢進,さらに中枢神経系を介する食欲亢進も関与して高血糖となります。
[1] Mari Murashita, Takeshi Inoue, Ichiro Kusumi, et al. Glucose and lipid metabolism oflong-term risperidone monotherapy in patientwith schizophrenia. Psychiatry and ClinicalNeurosciences 2007;61:54-58
[1]山崎 夕,薄井 勲,戸邉一之(2010)糖尿病治療薬の副作用2)体重増加 月刊糖尿病 Vol.2 No.5,122-123
[2]神庭 重信・橋岡 禎征・門司 晃..抗うつ薬の薬理作用機序:最近の知見, 第 129 回日本医学会シンポジウム,24-31
[3]五十嵐視紀夫.シリーズ伝えたい経験知 私がスルピリドを使う理由,CNS today,2014,10-11.
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