2017年1月30日

動脈硬化の指標

居宅療養管理指導で連携しているケアマネージャーさんからの質問。


健康診断で動脈効果について指摘されたのだが、動脈硬化の検査方法にはどんなものがあるのか?

指標として用いられているのは現在のところ複数存在します。


CAVI

CAVI(キャビィ)は大動脈を含む「心臓(Cardio)から足首(Ankle)まで」の動脈(Vascular)の硬さを反映する指標(Index)で、動脈硬化が進行するほど高い値となります。大動脈の進展性の低下は心疾患の発症や予後を規定する因子となることが知られており、早期診断と管理に役立ちます。


さらにCAVIは頚動脈エコー等で測定されるスティフネスパラメータβ法に基づき算出され、血圧に依存されない血管固有の硬さを表します。


CAVI<8.0;正常範囲 8.0≦CAVI<9.0;境界域 9.0≦CAVI;動脈硬化の疑い


動脈硬化指数(Atherogenic IndexAI

動脈硬化指数とは動脈硬化の起こりやすさを表現したもので、総コレステロール(TC)から善玉コレステロールといわれるHDLコレステロール(HDL-C)を差し引いた悪玉コレステロールを善玉コレステロールで除した計算式によって求められます。


動脈硬化指数=(TC-HDLC)/HDLC


正常値は4.0以下とされ、数値が大きいほど動脈硬化になりやすく、小さいほど動脈硬化になりにくいということができます。




内膜中膜複合体厚(intima-media thicknessIMT

頚動脈エコーから得られる内中膜厚。


ABI

ABI(足関節/上腕血圧比)とは、足関節収縮期血圧/上腕収縮期血圧のことです。計算式は以下のようになります。


ABI=(足関節最高血圧)/(上腕最高血圧;左右の高い方)


健常者では、下肢の血圧は上腕の血圧と同じかもしくは少し高くなっているため、ABI1.001.29の範囲に入ります。

下肢血管の狭窄がある場合、下肢の血圧が低くなるためABI0.9以下になります。

血圧の左右差がある場合も狭窄を疑う所見となります。


PWV

PWV(脈波伝播速度)とは、心臓から押し出された血液による拍動が動脈を伝わっていく速度のことです。

当検査室ではba PWV(上腕-足首脈波伝播速度:Brachial-Ankle pulse Wave Velocity)を測定しています。計算式は以下のようになります。


baPWV=(心臓-足首間のPWV)-(心臓-右上腕間のPWV)


健常者では、血管がしなやかで弾力性があり、脈波が血管壁に吸収されるため、速度は遅くなります。

血管壁が硬く厚いほど、脈波が血管壁で吸収されず速度は速くなります。




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