2017年1月30日

抗生物質製剤の服用とカンジダ症

抗生物質服用後のカンジダ症について質問したいことがあります。


①過去に抗生剤でカンジタになってしまった患者さんに対して使える抗生剤は何かありますか?


②抗生剤を飲んでカンジタになってしまわないためにヨーグルトなどを摂取することは有効ですか?


抗生物質投与後のカンジダの発症は、いわゆる菌交代症による症状と考えられます。


菌交代症とは抗生物質投与により、常在細菌叢のバランスが崩れることによりカンジダ菌やクロストリジウム菌が繁殖、病原性を呈してしまう状態を指します。


過去に抗生物質服用後にカンジダになってしまった方への投与ですが、菌交代症を起こしにくい抗生剤を選択すれば良いと考えられます。


ではどのような抗生剤が菌交代症を起こしにくいかといいますと、抗菌スペクトルが広くなく、かつ原因菌種の同定を行い、菌種毎に適した抗生剤が菌交代症、カンジダをより引き起こしにくいといえます(参考;宮崎大学病院薬剤部作成資料)。



また添付文書内副作用の項に『菌交代症』および『カンジダ』の記載がない抗生物質製剤も幾つか存在はしますが、臨床的にはカンジダを引き起こす可能性も否定できません。(エリスロシンやカナマイシンが該当します)


さて次にヨーグルトなど乳酸菌の投与がカンジダに好影響を与えるか否かについてですが、『エンテロノン-R』の添付文書に以下の記述がありました。

抗生物質・化学療法剤投与時の二次的副作用である菌交代現象に起因する腹部膨満感、嘔気、下腹部痛などの自覚症状や、下痢、便秘などの便性異常、並びに口腔におけるカンジダ性口腔炎、これらの進展した鵞口瘡、カンジダ性舌炎、黒舌症などの改善、及び抑制効果がみられた1~5)
以上のことより、抗生物質製剤を服用し、カンジタになってしまう方への整腸剤の投与は一定の効果が得られると考えられます。


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