2020年1月29日

【介護職員のできる与薬行為】


【質問内容】


本日介護施設より別に質問がありました。



①錠剤を処方されている施設入居者で、飲み込みが悪い時など施設側で砕く行為が法的に問題ないのか

②根拠となる法律があれば教えてほしい

③看護師はOKだが、介護職員ではだめなどはないか



以上の質問を受けました。




【回答】


粉砕しての与薬は不適切。また看護職員による実施のほうが望ましい。



【回答理由】


法律ではないが、以下2つの厚生労働省通知が根拠になると考えられる。

なお、厚生労働省通知に違反した場合は違法ではないが、保健所等管轄機関からの指摘を受ける事項となりうる。

薬食安発 1001 3 号 平成26101日『老人福祉施設等における医薬品の使用の介助について』

内容としては、

・看護職員が配置されている場合には看護職員による実施が望ましい。(あるいは指導の元実施されるべき)

・誤使用が生じた場合について



医政発第 0726005 号 平成17726日『医師法第 17 条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の解釈について』

この通知にて与薬に関する記述がある。

(前略)患者ごとに 区分し授与された医薬品について、医師又は歯科医師の処方及び薬剤師の服薬指導の上、看護職員の 保健指導・助言を尊重した医薬品の使用を介助すること

具体的には、皮膚への軟膏の塗布(褥瘡の 処置を除く。)皮膚への湿布の貼付、点眼薬の点眼、一包化された内用薬の内服(舌下錠の使用も含む。)、 肛門からの座薬挿入又は鼻腔粘膜への薬剤噴霧を介助すること。

この文言にて一包化された薬剤を服用させるのは医行為ではないと解釈されるようになったが、条件が付随する。

   患者が入院・入所して治療する必要がなく容態が安定していること

   副作用の危険性や投薬量の調整等のため、医師又は看護職員による連続的な容態の経過観察が必 要である場合ではないこと

   内用薬については誤嚥の可能性、座薬については肛門からの出血の可能性など、当該医薬品の使用の方法そのものについて専門的な配慮が必要な場合ではないこと



錠剤の粉砕となると上記③の『専門的な配慮が必要』といった文に抵触する可能性が高い。粉砕が必要であれば、調剤の段階で粉砕の可否の検討、必要に応じて処方変更が必要となる。



更に当該通知文においても、医薬品の使用介助については看護職員の配置がある場合には看護職員による実施が望ましいとの記載がある。




参照文献



厚生労働省. (2014101). 老人福祉施設等における医薬品の使用の介助について . 薬食安発 1001 3 .

厚生労働省医政局長 . (2005726). 医師法第 17 条、歯科医師法第 17 条及び保健師助産師看護師法第 31 条の解釈について . 医政発第 0726005 .




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