【質問内容】
イグザレルト服用中の患者さんの歯科治療についてです。
近隣の歯科Dr.から
「いろいろ併用薬のある人で、歯根の治療を行う。今回はカロナールだけなのだが、抗生剤、NSAIDsは何を使ったら良いか?」
①使用可能な抗生剤
②使用可能なNSAIDs
【回答】
マクロライド系以外の抗生物質は使用可能
一般のNSAIDsは併用注意(COX-2阻害薬であるセレコキシブは除く)、アセトアミノフェンに対しては併用注意の記載なし。
【回答内容】
抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドラインにチェックリストがあるが、リバーロキサバン服用中患者の抗生剤及びNSAIDsに関する直接的な記述はない。
ワルファリンに関する記述では一定期間抗生物質を投与することでINR値に変化が生ずるとの記述があるが、これには腸内細菌叢の変化、薬物相互作用が考えられる。
リバーロキサバンに関しては腸内細菌叢の変化を考慮する必要はないため、薬物相互作用のみが問題となる。
リバーロキサバンはCYP3A4で代謝され、P-糖蛋白の基質となっている。
そのためリバーロキサバンの血中濃度を変化させる薬剤としてはCYP3A4の阻害及びP-糖蛋白を阻害するマクロライド系抗生物質は併用注意となる。
(アジスロマイシンはP-糖蛋白の阻害作用をもつが、併用注意とはなっていない)
次に鎮痛剤について検討する。
ガイドラインの記載に、抗血栓療法患者におけるNSAIDsと術後出血の影響を調査した報告はない。アセトアミノフェンの投与によるINR値の変動を調査したランダム化比較試験および比較観察研究追加はみられる。
リバーロキサバンの添付文書上からも非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤(ナプロキセンジクロフェナクナトリウム等)は本剤の抗凝固作用と血小板凝集抑制作用により相加的に出血傾向が増強されると記載がある。
セレコキシブについてはワルファリンと異なり、リバーロキサバンの代謝に関与する薬物代謝酵素に影響しないため、リバーロキサバンの血中濃度に対して影響はない。
引用文献
一般社団法人 日本有病者歯科医療学会.
(2015). 科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2015.
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