2017年5月2日

腎機能低下患者への甘草の投与

腎機能低下患者へ芍薬甘草湯が処方されていた。
甘草は健常人では一日の投与量の目安が知られているが、腎機能低下患者の場合はどうなのか?


まず、ツムラやクラシエに該当する資料がないか確認してみましたが、該当する資料はないという回答でした。

そこで、Webにて検索したところ以下のような見解がありました。
芍薬甘草湯、通常は頓服していただく薬ですが、慢性腎不全の場合、腎機能は廃絶状態なのですが、電解質の吸収や排泄は消化管の粘膜上皮細胞でも行われますので、甘草のグリルリチンによりましてやや血清カリウム値が抑制されることも報告されています。[1]
腎障害でカリウム値が上昇しやすくなっているため、甘草によるカリウム値の低下が見込めるという判断です。
こういった背景もあり、下記の独自処方を調製され投与されている症例もあります。
養腎降濁湯
黄耆30g 赤芍薬1530g 土茯苓30g 萆薢10g 丹参12g 半夏1215g栝楼仁10g 甘草615g* 茯苓1230g(中略)この処方は透析やカリウム降下剤が効かない場合にも有効だということが大きな特徴だと思います[2]
この処方例にあるように、甘草を高用量で用いるケースも確認されています。
以上のことより、腎機能低下患者への甘草の使用には特別な制限はないと考えられます。(注:もちろん血清カリウム値のモニタリングは必要と考えられます)


[1]ツムラメディカルトゥデイ領域別入門漢方医学シリーズ腎領域と漢方医学 小野孝彦
[2]京都漢方学術シンポジウム 伝統医学Vol.9 No.12006.3


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