2017年3月29日

妊娠を希望される女性へのてんかんの治療

患者さんのおくすり手帳を確認している中で、見つけた処方内容。


Rp1)フォリアミン散100mg/g    0.04g

Rp2)ラミクタール錠100mg      1


診療科から考えて、恐らくてんかんの治療だと思うが、フォリアミンの処方意図はなんなのか?

ちなみに以前はデパケンRが処方されていた。




てんかんの既往症を持つ妊娠希望患者さんへの代表的な処方です。


一部の抗てんかん薬が血中葉酸濃度を低下させることが知られており、将来奇形の発生するリスクを軽減させるため、妊娠前から葉酸を補充(0.6mg/日)することも必要とされるためです[1]


てんかん.png

日本神経学会『てんかんと女性ガイドライン』より引用


上図にあるように妊娠前にはバルプロ酸ナトリウム(VPA)の投与回避及び、可能な限り単剤投与となります。これは、VPAは投与量、血中濃度に依存して奇形発現率が増加し、また二分脊椎症などが起こりうるためです。


VPAからラミクタールに変更となった理由についてですが、FDAの催奇形性誘発分類ではVPA、フェニトイン、カルバマゼピンなどは、カテゴリーD(妊婦が服用することにより、胎児に影響があるエビデンスの薬剤)と上位に分類されるものの、ラミクタールはカテゴリーC(人での十分な対照データが無いが、動物実験では胎児に影響があるエビデンスの薬剤)に分類され、比較的安全とされ推奨されるからです。



[1]てんかんを持つ妊娠可能年齢の女性に対する治療ガイドライン「てんかん研究」 2007;25(1):27-31より引用



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